AIエージェントと生成AIの違いとは?仕組み・活用事例・選び方を徹底解説

AIエージェントと生成AIの違いとは?

「AIエージェントと生成AIは何が違うのか?」
「自社の業務に適しているのはどちらなのか?」

これらはAI導入を考えている企業にとって、真っ先に直面する疑問でしょう。

AIエージェントと生成AIは、どちらもAIを活用した技術ですが、生成AIは文章や画像などのコンテンツ生成を得意とし、AIエージェントは目標に合わせて計画を立て、必要な作業を実行する点が特徴です。

ただし、両者は完全に独立したものではなく、組み合わせて活用されるケースも増えています。

この記事では、AIエージェントと生成AIの違いを、仕組みやできること、ビジネス活用事例などから比較します。

導入時の注意点や目的に合った選び方も紹介するため、AIの業務利用を考えている方は最後までお付き合いください。

この記事でわかること
  • AIエージェントと生成AIの仕組みや役割の違い
  • AIエージェントと生成AIが得意な業務と活用事例
  • 両者を組み合わせて業務を効率化する方法
  • 誤作動や情報漏洩など導入時に注意すべきリスク
  • 業務目的に合ったAIの選び方と導入ステップ
  • 国内外のAI法規制と企業に必要なAIガバナンス
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目次

AIエージェントと生成AIの違いとは?

AIエージェントと生成AIの違いとは?

AIエージェントと生成AIの大きな違いは、利用する目的と行動できる範囲です。

AIエージェントは、設定された目標の達成に向けて必要な作業を考え、外部ツールを使いながら実行します。
一方、生成AIは、人間の指示に応じて文章や画像などのコンテンツを生み出す技術です。

とはいえ、両者は完全に別の技術というわけではありません。

現在は、生成AIを思考や対話の部分に利用したAIエージェントも登場しています。

比較項目AIエージェント生成AI
主な目的目標の達成や業務の実行新しいコンテンツの生成
動作方法必要な作業を計画して順番に実行指示に応じた内容を生成
自律性状況に応じて次の行動を選択する基本的に人間の指示を受けて動く
主な出力完了した作業や実行結果文章、画像、音声、動画、コード
外部ツール検索、API、業務システムなどと連携単体ではコンテンツ生成が中心
得意分野複数の工程を含む業務の自動化制作、要約、翻訳、アイデア出し
主な課題誤作動、権限管理、情報漏洩誤情報、著作権、出力の偏り


それぞれの仕組みから詳しく見ていきましょう。

AIエージェントとは?仕組みと4つの構成要素

AIエージェントとは、人間から与えられた目標を理解し、達成するための手順を考えて行動するAIシステムです。

経済産業省と総務省が2026年3月31日に公表した最新版の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」では、AIエージェントを「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」と定義しています。

第1.2版では、AIエージェントとフィジカルAIの登場を踏まえ、定義や期待される効果、新たなリスク、具体的な利用例が追加されました。

AIエージェントは、基本的に目標の確認、計画の立案、作業の実行、結果の評価・修正という流れで動作します。
あらかじめ決められた処理を繰り返すだけでなく、周囲の状況や実行結果に応じて次の行動を選択できる点が特徴です。

たとえば、「見込み顧客の情報をまとめて営業資料を作成する」という目標を与えたとします。
AIエージェントは、顧客データの検索、情報の整理、資料の作成といった複数の作業に分解し、利用可能なシステムを使いながら処理を進めます。

AIエージェントの仕組みを業務利用の観点から整理すると、主に次の4つの要素があります。

  • 計画:目標達成に必要な作業を分解し、実行する順番を決める
  • 記憶:会話内容や過去の実行結果、業務に必要な情報を保持する
  • ツール連携:Web検索や社内データベース、APIなどを利用する
  • 実行・評価:計画した作業を行い、結果に応じて次の行動を修正する

ただし、すべてのAIエージェントが自由に判断したり、経験から自動的に学習したりするわけではありません。

行動できる範囲は、与えられた権限や接続されているツール、あらかじめ設定されたルールによって異なります。

生成AIとは?仕組みとできること

生成AIとは、大量のデータから文章や画像などの特徴を学習し、人間の指示に応じて新しいコンテンツを生成するAIです。

文章生成に使われる代表的な技術が、「大規模言語モデル(LLM)」です。

LLMは学習したデータをもとに、入力された文章の文脈を読み取り、続く可能性の高い言葉を予測しながら回答を作ります。

なお、生成AIとLLMは同じ意味ではありません。
LLMは主に言語を扱うモデルであり、生成AIには画像、音声、動画などを生成するモデルも含まれます。

生成AIで作成できる代表的なコンテンツは、次のとおりです。

  • ブログ記事、メール、広告文などの文章生成
  • イラスト、広告バナー、デザイン案などの画像生成
  • ナレーション、音楽、効果音などの音声生成
  • プロモーション映像やアニメーションなどの動画生成
  • プログラムコードやテストコードなどのコード生成

生成AIは、アイデア出しや制作作業の効率化に向いているでしょう。

一方で、基本的には人間から与えられた指示に対してコンテンツを出力する仕組みです。
そのため、外部システムの操作まで自動で行うには、AIエージェントやほかの仕組みとの連携が必要になります。

AIエージェントと生成AIの違いを比較

AIエージェントは目標の達成に向けて必要な作業を進めるのに対し、生成AIは人間の指示に応じて文章や画像などを作ります。

両者の違いを、具体的な場面で考えてみましょう。

たとえば、「出張の準備をしたい」と指示した場合、生成AIは目的地までの移動方法や日程案を文章で提案します。

AIエージェントは、接続されたサービスと与えられた権限の範囲内で、交通機関や宿泊施設の検索、料金比較、予約手続き、予定表への登録まで進められます。

生成AIが「情報を作る」のに対し、AIエージェントは「必要な行動を進める」と考えると分かりやすいでしょう。

また、生成AIはAIエージェントの一部としても活用できます。
生成AIが情報の理解や文章作成を担当し、AIエージェントが作業の計画やツール操作を管理する仕組みです。

そのため、どちらが優れているかではなく、コンテンツを作りたいなら生成AI、複数の作業を自動化したいならAIエージェントというように、解決したい課題から選ぶことが重要です。

AIエージェントと生成AIのビジネス活用事例

AIエージェントと生成AIのビジネス活用事例

AIエージェントと生成AIは、得意な作業が異なります。

AIエージェントは複数の工程を含む業務の自動化、生成AIは文章や画像などの制作に向いています。
さらに、両者を組み合わせることで、情報収集からコンテンツ作成、顧客対応までを一連の流れとして効率化が可能です。

ここでは、「AIエージェントの活用事例」「生成AIの活用事例」「AIエージェントと生成AIを組み合わせた活用事例」の3つをそれぞれ解説します。

AIエージェントを活用した業務自動化の事例

AIエージェントは、単純な定型作業だけでなく、状況に応じた判断が必要な業務にも活用できます。

代表的な例が、カスタマーサポートです。
顧客から問い合わせを受けると、質問の内容を判断し、FAQや顧客情報を検索します。
そのうえで、回答の提示や担当者への引き継ぎ、対応履歴の保存までを自動化できます。

営業分野では、商談履歴や顧客情報、過去の類似案件などを収集し、提案方針をまとめる使い方が考えられます。
営業担当者は情報収集にかかる時間を減らし、顧客との対話や最終的な提案内容の調整に集中できます。

製造業の知的財産業務では、さまざまな活用が考えられます。
具体的には以下のような工程への活用も想定されています。

  • 特許に関するアイデアの整理
  • 関連する技術や既存特許の調査
  • 調査結果の分類と要約
  • 特許申請に必要な書類の作成支援

NTTドコモビジネスの「AIエージェントとは?仕組みや生成AIとの違い、ユースケースを紹介」では、製造業の知的財産業務や金融業の営業支援を、業界・業務特化型AIエージェントのユースケースとして紹介しています。

なお、これらは特定企業の導入効果を示した事例ではなく、AIエージェントの活用が想定される業務例です。

AIエージェントに情報収集や整理を任せ、人間が重要な判断と最終確認を担当することで、業務品質を保ちながら効率化を進められます。

活用分野AIエージェントで自動化できる主な業務
カスタマーサポートFAQ検索、回答提示、担当者への引き継ぎ、履歴保存
営業顧客情報・類似案件の収集、分析、提案方針の作成
製造業の知的財産業務特許調査、情報の分類・要約、申請書類の作成支援

生成AIを活用したコンテンツ制作の事例

生成AIは、文章、画像、音声、動画、プログラムコードなどの制作に活用できます。
特に、複数の案を短時間で用意したい業務と相性がよい技術です。

マーケティングでは、商品紹介文、広告のキャッチコピー、メールマガジン、SNS投稿などの下書きを生成できます。
ターゲットごとに表現を変えたり、既存の文章を別の言語へ翻訳したりすることも可能です。

社内業務では、会議内容の要約、マニュアルの下書き、研修用の問題作成などに利用できます。
ソフトウェア開発では、コードの作成や修正、テストコードの生成によって、開発者の作業を支援します。

ただし、生成された内容が正しいとは限りません。
事実関係や表現、著作権上の問題がないかを人間が確認したうえで、完成品として利用する必要があります。

活用分野生成AIで制作・支援できる主な内容
マーケティング商品紹介文、広告文、メールマガジン、SNS投稿、翻訳
社内業務会議の要約、マニュアルの下書き、研修問題
クリエイティブ制作画像、音声、動画、デザイン案
ソフトウェア開発コードの作成・修正、テストコードの生成

AIエージェントと生成AIを組み合わせた事例

AIエージェントと生成AIを組み合わせると、AIエージェントが業務全体を管理し、生成AIが必要なコンテンツを作るという役割分担が可能です。

たとえば、顧客対応では、AIエージェントが問い合わせ内容や契約情報を確認し、必要な情報を社内データベースから取得します。
その情報をもとに生成AIが自然な回答文を作り、AIエージェントが返信や担当者への引き継ぎを行います。

マーケティングでは、AIエージェントが売上や顧客行動を分析し、実施すべき施策を整理します。
その後、生成AIが広告文やメール、画像案を作成し、配信後の結果をAIエージェントが収集・分析する流れを構築できます。

活用分野AIエージェントの役割生成AIの役割実現できること
顧客対応顧客情報の取得、処理の判断、返信・引き継ぎ問い合わせに応じた回答文の作成柔軟な自動応答と対応時間の短縮
マーケティング売上・顧客行動の分析、施策管理、効果測定広告文、メール、画像案の作成分析から制作・改善までの効率化

実際に、AIエージェントと生成AIを組み合わせて顧客対応を効率化している企業もあります。

富士通が行ったパイロット検証では、従来のチャットボットで8回のやり取りが必要だった問い合わせを、AIエージェントが1回で解決しました。

検証後は本番環境への採用が決まり、月間問い合わせ件数の約15%をAIエージェントが対応する体制の構築を目指しています。

そのほかの企業事例を含めると、次のとおりです。

企業活用内容確認された成果
富士通Agentforceをサポートデスクへ導入問題解決までのやり取りを8回から1回に短縮
AutodeskEinstein for Serviceを顧客対応に活用チャット要約の作業時間を63%削減し、継続的な保守作業も推定30%削減
OpenTableAgentforce for Serviceを試験導入問い合わせへのリアルタイム回答と追加質問への柔軟な対応を実現

参考:Salesforce「富士通のSalesforceサポートデスク対応にAgentforceを採用 AIエージェントの支援によるハイブリッドな労働力で顧客満足度を向上」

参考:Salesforce「AIエージェントと生成AIの違いとは?組み合わせてできることを紹介」

このように、生成AIだけでは難しい外部システムの操作をAIエージェントが担当し、AIエージェントだけでは難しい柔軟な文章や提案の作成を生成AIが補います。

両者を組み合わせることで、個別の作業だけでなく、業務プロセス全体の効率化を目指せるわけです。

Claude Codeを用いた、業務効率化については、こちらの記事を参考にしてください。

AIエージェントと生成AIを導入する際の注意点

AIエージェントと生成AIを導入する際の注意点

AIエージェントと生成AIは、双方ともに業務効率化に役立つ一方で、誤作動や情報漏洩、誤情報、著作権侵害などのリスクがあります。

導入時は、AIに任せる業務の範囲だけでなく、問題が起きた場合の対応方法まで決めておく必要があります。

AIエージェントは誤作動や情報漏洩に注意する

AIエージェントは、外部システムと連携して情報の検索や入力、メール送信などを実行できます。
そのため、判断を誤ると、顧客情報の誤更新や間違った相手へのメール送信につながる可能性があります。

また、広いアクセス権限を与えると、業務に必要のない機密情報や個人情報へアクセスするリスクも高まります。

NTTドコモビジネスの解説でも、AIエージェントの課題として、情報セキュリティリスクや予測できない出力・エラーが挙げられています。

リスクを抑えるためには、次のような対策が有効です。

  • 業務に必要な範囲だけアクセス権限を与える
  • 利用できるデータや外部ツールを制限する
  • メール送信やデータ削除の前に承認を求める
  • AIエージェントの実行内容を記録する
  • 問題発生時に停止できる仕組みを用意する

特に、支払い、契約、顧客への連絡など影響の大きい作業は、人間による承認を挟む方が安全です。

AIエージェントと生成AIを組み合わせる場合は、透明性や責任の所在も明確にする必要があります。

Salesforceの解説では、責任の明確化に加え、データプライバシーとセキュリティの確保が注意点として紹介されています。

生成AIはハルシネーションや著作権に注意する

生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく出力することがあります。
この現象はハルシネーションと呼ばれています。

実在しない統計や制度、参考文献を提示する場合もあるため、生成された情報をそのまま記事や資料へ使用すべきではありません。
重要な情報は、官公庁や企業の公式サイトなどの一次資料と照合しましょう。

著作権にも注意が必要です。
生成物が既存の文章や画像と似ている場合、利用方法によっては著作権侵害になる可能性があります。

文化庁は、「AIと著作権に関する考え方について」やチェックリストを公開しています。
生成物を外部へ公開する場合は、既存の著作物との類似性を確認するとともに、使用する生成AIサービスの利用規約や商用利用条件も確認しましょう。

個人情報や機密情報をプロンプトへ入力することもリスクになります。
個人情報保護委員会の注意喚起を確認し、AIへ入力できる情報と入力してはいけない情報を社内ルールで明確にすることが大切です。

AIエージェントと生成AIには人間による監視が必要

AIの出力や行動を人間が確認し、必要に応じて修正する仕組みをヒューマン・イン・ザ・ループと呼びます。

すべての処理を人間が確認すると、AIを導入するメリットが小さくなります。

そのため、業務のリスクに応じて監視方法を変えることが大切です。

リスク運用方法の例
低いデータ整理や社内向け要約は自動化し、定期的に確認する
中程度広告文や顧客への回答は、担当者が確認してから公開する
高い契約、支払い、個人情報の更新は、責任者の承認を必須にする

企業は監視担当者だけでなく、問題発生時の報告先や対応手順、最終的な責任者も決めておく必要があります。

最新版の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」では、AIエージェントが外部システムと自律的に連携することで、内部データが意図せず外部へ送信されるリスクなども整理されています。

企業は、AIエージェントが操作できる範囲を制限するとともに、重要な処理に人間の承認を挟み、実行内容を記録できる体制を整える必要があるでしょう。

AIにすべてを任せるのではなく、AIが得意な処理と人間が判断すべき業務を分けることが、安全かつ効果的な導入につながります。

AIエージェントと生成AIはどちらを選ぶべき?

AIエージェントと生成AIはどちらを選ぶべき?

AIエージェントと生成AIのどちらを選ぶべきかは、解決したい業務課題によって異なります。

コンテンツを作りたい場合は生成AI、複数の作業を自動化したい場合はAIエージェントが向いています。
制作から実行まで効率化したい場合は、両方の組み合わせを検討しましょう。

実現したいこと適しているAI
文章や画像などを作りたい生成AI
複数の作業を自動化したいAIエージェント
制作から実行まで任せたいAIエージェントと生成AIの組み合わせ

生成AIとAIエージェント、そして両方を組み合わせする場合の詳細をそれぞれ見ていきましょう。

生成AIが向いているケース

生成AIは、文章や画像などの作成、情報の要約、アイデア出しを効率化したい場合に向いています。

たとえば、広告文、ブログ記事、メール、プレゼン資料の下書きを作りたい場合です。
会議内容の要約や翻訳、コード作成の補助にも利用できます。

次のようなケースでは、生成AIを選ぶとよいでしょう。

  • コンテンツ制作にかかる時間を短縮したい
  • 複数の企画やデザイン案を比較したい
  • 長い文章や資料を短く整理したい
  • 翻訳や文章の書き換えを効率化したい
  • プログラムコードの作成を支援してほしい

生成AIは比較的導入しやすく、限定的な業務から試せます。
一方で、生成内容には誤りが含まれる可能性があるため、人間による確認を前提に利用しましょう。

AIエージェントが向いているケース

AIエージェントは、複数の工程を含む業務や、外部システムの操作が必要な業務に向いています。

たとえば、顧客からの問い合わせを受けて、顧客情報の検索、回答、担当者への引き継ぎ、対応履歴の保存まで自動化したいなどです。

次のようなケースでは、AIエージェントの導入を検討できます。

  • 複数のシステムを横断して作業する
  • 状況に応じて次の処理を変える
  • 定期的に繰り返す業務を自動化する
  • 情報収集から実行までをまとめて任せる
  • 顧客や社内の問い合わせへ継続的に対応する

NTTドコモビジネスの解説では、AIエージェントは目標に向けてタスクを分解し、Web検索やAPIなどを利用しながら作業を進める仕組みと説明されています。

ただし、業務手順や例外時の対応が整理されていない状態では、AIエージェントも適切に行動できません。
導入前に、現在の業務フローを可視化する必要があります。

両方を組み合わせた方がよいケース

情報収集からコンテンツ作成、外部システムへの反映までを効率化したい場合は、AIエージェントと生成AIの組み合わせが適しています。

たとえば、マーケティング業務では、AIエージェントが売上や顧客行動を収集・分析し、生成AIが分析結果に合った広告文やメールを作成します。その後、AIエージェントが配信や効果測定を行う流れを構築できます。

両者の役割は、次のように分けられます。

  • AIエージェント:情報収集、計画、ツール操作、進行管理
  • 生成AI:文章、画像、提案、回答などの作成
  • 人間:内容の確認、重要な判断、最終承認

Salesforceの解説でも、両者の組み合わせによって、顧客対応の高度化や意思決定支援、クリエイティブ作業の自動化が可能になると紹介されています。

AI導入を進める4つのステップ

AI導入を進める4つのステップ

AIは、最初から大規模に導入するのではなく、小さな業務で効果とリスクを確認しながら範囲を広げましょう。

小規模かつ低リスクな業務からAIを試し、導入効果や問題点を確認します。
それらを改善していく形で、少しずつ任せる業務を増やしていきましょう。

導入までのステップは、以下の4つを繰り返していく形になります。

STEP
解決したい課題を明確にする

たとえば、「作業時間を月20時間減らす」「問い合わせへの初回回答を早める」など、具体的な目標と評価指標をはじめに決めます。

STEP
課題に合ったAIを選ぶ

コンテンツ生成が中心なら生成AI、業務の実行まで任せるならAIエージェントを選びます。
業務内容によっては、両方を組み合わせての運用も検討しましょう。

STEP
小規模な業務で試験導入する

対象部署や利用者を限定し、出力の精度、作業時間、費用、問題の発生状況を確認します。
個人情報や機密情報の取り扱いルールも、この段階で整備します。

STEP
効果を測定して利用範囲を広げる

導入前に決めた指標を使って効果を検証します。
問題点を修正し、安全性を確認してから対象業務を増やします。

社内ルールを初めて整備する企業は、経済産業省が公開している「AI事業者ガイドライン活用の手引き(案)」も参考にできます。

AIガバナンスを構築する前の準備や、ガイドラインの参照方法、具体的な活用例などが整理されています。

AIツールを先に選ぶのではなく、業務課題を明確にしたうえで必要な機能を選ぶことが、導入を成功させるポイントです。

AIエージェントと生成AIに関する法規制とAIガバナンス

AIエージェントと生成AIに関する法規制とAIガバナンス

AIエージェントや生成AIを業務で利用する際は、技術面だけでなく、法規制や社内の管理体制も確認する必要があります。

生成AIでは、著作権や生成物の透明性が主な論点となり、AIエージェントでは、自律的な判断や外部システムの操作に対する責任が、より重要になります。

どちらを利用するとしても、AI利用のガイドライン作成をおすすめします。

日本のAI法と適正性指針を確認する

日本では、2025年6月4日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」、通称「AI法」が公布・一部施行され、同年9月1日に全面施行されました。

日本のAI法は、AIの利用を一律に制限するものではありません。
AIの研究開発や活用を促進しながら、AIによって生じるリスクへ対応するための基本的な枠組みを定めています。

さらに、2025年12月19日には、AI法第13条に基づく「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」が決定されました。

この指針では、AIを活用する事業者や研究開発機関が特に取り組む事項として、次の5つを示しています。

  1. AIガバナンスによる適正性の確保
  2. ステークホルダーとの信頼関係を築くための透明性の確保
  3. AIの不適切な出力や誤作動を防ぐ安全性の確保
  4. 障害発生に備えた事業継続体制の整備
  5. データ保有者などのステークホルダーへの配慮

生成AIを利用する企業では、ハルシネーションや偽・誤情報、偏見を含む出力を抑えるとともに、著作権、プライバシー、個人情報などに配慮する必要があります。
生成物であることを識別できる技術の導入や、利用者への注意喚起も検討が必要です。

AIエージェントを利用する場合は、それらに加えて、アクセスできるデータや操作できるシステムを制限する必要があります。
AIが行った処理を記録し、重要な判断や外部へ影響する操作には人間の承認を挟む仕組みも重要です。

企業がAIガバナンスを構築する際は、「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」に加え、広島AIプロセスやAIマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 42001」も参考にできます。

AI法と適正性指針の詳しい内容は、内閣府の「AI法について」で確認しましょう。

EU AI Actなど海外の法規制にも注意する

海外でAIサービスを提供する場合は、日本国内のルールだけでなく、提供先の国や地域の法規制も確認しなければなりません。

代表的な制度が、EUの「AI Act」です。

EU AI Actでは、AIシステムを利用目的や危険性に応じて分類し、リスクが高いほど厳しい対応を求めています。

2026年7月には、AI Actの一部を改正する「Digital Omnibus on AI」が成立しました。
これにより、高リスクAIに関する義務の適用時期が次のように変更されています。

適用日主な内容
2026年8月2日AI生成物などに関する第50条の透明性義務や、汎用AIモデルに対する制裁権限などが適用
2026年12月2日同意のない性的ディープフェイクなどに関する新たな禁止規定が適用
2027年12月2日採用、教育、融資、重要インフラなどAnnex IIIに該当する高リスクAIの義務が適用
2028年8月2日機械、玩具、エレベーターなどAnnex Iの製品へ組み込まれる高リスクAIの義務が適用

生成AIに関しては、2026年8月2日から、AIが生成・加工したコンテンツを識別できるようにする透明性義務が適用されています。

ただし、2026年8月2日より前に市場へ提供されていた合成コンテンツ生成AIについては、第50条2項への対応期限が2026年12月2日まで延長されています。

AIエージェントは、その名称だけで規制内容が決まるわけではありません。
採用、教育、融資、重要インフラなど、利用する分野や目的によってリスク区分が判断されます。

高リスクAIに該当する場合は、リスク管理、実行記録の保存、人間による監視、正確性やサイバーセキュリティの確保などが必要です。

高リスクAIの適用時期は延期されましたが、対応が不要になったわけではありません。
EUでAIを提供・利用する企業は、整合規格やガイドラインの整備状況を確認しながら準備を進めましょう。

最新の適用時期や対象範囲は、欧州委員会の「AI Act公式ページ」と、「Regulation(EU)2026/1744」で確認できます。

企業はAIガバナンス体制を構築する

AIガバナンスとは、AIを安全かつ適切に利用するための社内ルールや管理体制のことです。

生成AIとAIエージェントでは、重点的に管理すべき項目が異なります。

対象主に管理する項目
生成AI入力できる情報、生成物の確認、著作権、利用規約、AI生成物の表示
AIエージェントアクセス権限、実行可能な操作、承認が必要な行動、実行記録、緊急停止
共通利用目的、責任者、リスク評価、従業員教育、問題発生時の対応

生成AIでは、生成された文章や画像を誰が確認し、どのような条件で公開できるのかを決めます。
個人情報や機密情報を入力しないためのルールも必要です。

AIエージェントでは、閲覧だけを許可するのか、データの変更やメール送信まで認めるのかを明確にします。
契約や支払いなど影響の大きい処理には、人間による承認を必須にすべきです。

法規制やガイドラインは今後も更新される可能性があります。
導入時にルールを作って終わりにせず、AIの利用状況や制度変更に合わせて定期的に見直しましょう。

参考:内閣府「AI戦略」
参考:経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」
参考:欧州委員会「EU AI Act」

AIエージェントと生成AIの違いに関するよくある質問

AIエージェントと生成AIの違いに関するよくある質問

AIエージェントと生成AIについて、導入を検討する企業から寄せられやすい疑問を紹介します。

AIエージェントと生成AIはどちらが優れていますか?

どちらか一方が優れているわけではなく、利用目的によって適した技術が異なります。

文章や画像の作成、要約、翻訳、アイデア出しなどを効率化したい場合は、生成AIが適しています。

一方、情報収集やシステム操作を含む複数の作業を自動化したい場合は、AIエージェントが向いています。

技術の性能だけで比較するのではなく、自社が解決したい課題から選ぶことが重要です。

AIエージェントは生成AIの一種ですか?

AIエージェントと生成AIは、同じ技術ではありません。

生成AIは文章や画像などを生み出す技術であり、AIエージェントは目標達成に必要な作業を計画し、実行するシステムです。

ただし、現在は生成AIを情報の理解や回答作成に利用するAIエージェントも増えています。

生成AIが思考やコンテンツ作成を担い、AIエージェントが計画や外部ツールの操作を管理する関係と考えると分かりやすいでしょう。

LLMとAIエージェントの違いは何ですか?

LLMは、文章の理解や生成を得意とする大規模言語モデルです。

質問への回答や文章の要約、翻訳などはできますが、LLM単体では外部システムを操作したり、複数の作業を継続的に管理したりできるとは限りません。

AIエージェントは、LLMなどのAIモデルに計画、記憶、ツール連携、実行・評価といった機能を組み合わせたシステムです。

つまり、LLMはAIエージェントを構成する要素の一つとして利用されます。

チャットボットとAIエージェントの違いは何ですか?

一般的なチャットボットは、利用者からの質問に対して、あらかじめ用意された内容や参照情報をもとに回答します。

一方、AIエージェントは質問へ回答するだけでなく、目標に応じて必要な作業を判断し、データベースや業務システムなどを操作できます。

たとえば、チャットボットが予約方法を案内するのに対し、AIエージェントは空き状況の確認や予約手続きまで進められます。

ただし、近年は外部ツールを操作できるチャットボットも登場しており、両者の境界は明確に分けられない場合があります。

AIエージェントに業務をすべて任せても問題ありませんか?

AIエージェントは自律的に作業を進められますが、すべての業務を任せられるわけではありません。

判断を誤ると、顧客情報の誤更新や誤ったメールの送信、機密情報への不適切なアクセスなどにつながる可能性があります。

特に、契約、支払い、個人情報の変更など影響の大きい処理には、人間による確認や承認を取り入れる必要があります。

AIに与える権限を必要な範囲に限定し、実行履歴を記録することも重要です。

生成AIとAIエージェントのどちらから導入すべきですか?

文章作成や要約など、限定された作業を効率化したい場合は、比較的試しやすい生成AImの導入がおすすめです。

複数のシステムをまたぐ作業や、情報収集から実行までを自動化したい場合は、AIエージェントの導入を検討しましょう。

ただし、最初から大規模に導入するのではなく、低リスクな業務で試験運用することが大切です。

導入前に業務の流れや課題を整理し、効果とリスクを確認しながら利用範囲を広げましょう。

【まとめ】AIエージェントは業務の実行に生成AIはコンテンツ生成に利用する

AIエージェントと生成AIは、どちらも業務効率化に役立つ技術ですが、目的や動作方法が異なります。

この記事では、AIエージェントと生成AIの違いを、仕組みやできること、ビジネス活用事例などから比較しました。

文章や画像などのコンテンツ制作を効率化したい場合は生成AI、複数の工程や外部システムの操作まで自動化したい場合はAIエージェントが適しています。

情報収集から制作、実行までを一連の流れとして効率化したい場合は、両方を組み合わせる方法も有効です。

ただし、AIを導入すれば、すべての業務を安全に自動化できるわけではありません。

誤情報や情報漏洩、著作権などのリスクを理解し、人間による確認や承認を取り入れる必要があります。

法規制やガイドラインの変化に合わせて、社内ルールを定期的に見直すことも大切です。

まずは解決したい業務課題を明確にし、小規模かつ低リスクな業務から試しましょう。

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この記事を書いた人

6年以上にわたり、仮想通貨や副業分野を中心にWebライターとして活動中。
近年は生成AI・AIビジネス・AI活用分野の記事執筆にも注力し、専門性と読みやすさを両立したコンテンツ制作を心がけています。

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